トンボロ

市営交通船で小さな隣島に行く。
ここにはトンボロというものがある。舞鶴天橋立のように潮の干満で、島がついたり離れたりする地形である。砂州は南北に連なる。今日は東風が吹き、東の波が強い。左右で波の周期が異なり、妙な違和感がある。左右左右左左、だんだんとその周期にな慣れてくる、いつの間に玉石を積み上げたのだろう、島は繋がっていた。
島を渡り居心地のよい岩をみつけ、横になり、遠くの島を眺めていてふと思ったのだが、たいがいどうでもいいのだなと(どうでもよくないこともなくはないが)。旅先の景色で一気にキャンバスを塗り替えることで、日常に量産した落書きを消し込む。


離島と言っても住人すら居ないと観光客目当てな匂いが鼻につく。名所は少なく、そこそこ人が住んでいる方が居心地よい。商店に行くとイワシすり身などの天ぷらが置いてある。これがかなりうまい。焼酎のあてにはもってこいである。*1

*1:ソーセージやテリーヌは食べるのに、さつま揚げや蒲鉾を厭う人が時折いるが、どのへんに起因するものなのかがよくわからない。

鼻と浦

この島の海岸線は鼻と浦でできている。凸が鼻に凹が浦である。浦に港ができ、人が住む。凸凹であり、島々が連なっているため、ここには、ほぼ波がない。*1

浦の海岸線に沿って舗装された道が続く、そこを自転車で走る。走っているとき、早く移動したいと思わなくはないが、実のところ、この穏やかに延々と広がる海、そこを走っている時間、それがずっと続いてくれと思っているのだ。
そして、鼻に近づくと山越えである。少し汗ばみながら、坂道を登り詰める。下りになり、海が開ける。そこを一気に駆けおりる。この爽快さはこの上ない。
これをいくつか繰り返した後、鼻先の岩場や浜の木陰に陣取り、本を読んだり、酒を飲んだりする。*2

*1:外海の鼻先には荒々しい波風が吹いている。

*2:ふと思ったのだが、ふだん欲にまみれ過ぎなのだ。

離島開発センター

今は公民館となっていて図書室がある。今日は雨で寒いので、そこで地元の書物を読む。ここであれば携帯電話もつながる。
25㎢弱で、2500人強住んでいるそうだ。5㎞四方なら1周なんてたやすいと思っていたのだが、海と陸が入り組んでいてヒトデ型をしていてかなり広い。山と山の間にはダムまである。6つもあるそうだ。

道路に信号機がない。また、時折バスが走っているのを見かけるのだが、誰も乗ってない。バスに行き先は表示されているが、バス停には経路図がない。時刻表ももちろんない。

昼寝

道は舗装されているが、離島なためか誰もいない。鬱蒼と弦の絡まる木々の間を自転車を押しながら登りつめる。
城岳山頂、入り組んだ海と港と山と、それだけ。
鯵のいりこを取り出してかじり、小瓶に詰め替えた芋焼酎を口に含む。何だか眠くなってきた。

夜と朝

夜、バスに乗った。
狭く膝を抱えるようにしながら、知らない土地へと連れていかれる。朝、大きな橋のたもとに着いた。何かから解放されるような気分がした。
バスは駅に着いたのだが、駅だけ妙に新しく落ち着かない気がしたので、各駅の電車に乗ることにした。沿線には巨大な工業建築物が立ち並び、見ていて飽きない。
次の大きな駅から船が出ているようなので、降りて港に行く。妙だが、港にちょうどよく温泉施設があったので入る。深夜に出向する船を待っていると、雨が降ってきた。だが、明日の朝を心待ちにする。

トルティージャ風

トルティージャ風

最近スペイン風オムレツを試みているのだが、どうにもフライパンにくっついてしまう(フライパンのせいにしておこう)。
そこで、オーブンにしてみた。
油で耐熱皿を軽く拭いて、玉葱とジャガイモのスライス(ともに1つずつ)を敷き詰める。上にスライスチーズを1枚ちぎってのせる。卵を3つといて、塩とこしょうで味付け。耐熱皿に流し込み、オーブンで20分。
熱々のところをスプーンで、香ばしくうまい。

濹堤

暮

浅草で釜飯を食べて、吾妻橋から水上バス
えらい陽気で、濹堤の桜も散ってたけれど、
松屋で買った酒を1杯やりつつ、
船に揺られて、夕日を眺める。何だかうとうとと
してきて、水面に映る光の道の上を歩いてきたい気分にかられる*1

*1:なにがしたいってわけでもないけれど、別にそういう日があったっていいだろう