鼻と浦

この島の海岸線は鼻と浦でできている。凸が鼻に凹が浦である。浦に港ができ、人が住む。凸凹であり、島々が連なっているため、ここには、ほぼ波がない。*1

浦の海岸線に沿って舗装された道が続く、そこを自転車で走る。走っているとき、早く移動したいと思わなくはないが、実のところ、この穏やかに延々と広がる海、そこを走っている時間、それがずっと続いてくれと思っているのだ。
そして、鼻に近づくと山越えである。少し汗ばみながら、坂道を登り詰める。下りになり、海が開ける。そこを一気に駆けおりる。この爽快さはこの上ない。
これをいくつか繰り返した後、鼻先の岩場や浜の木陰に陣取り、本を読んだり、酒を飲んだりする。*2

*1:外海の鼻先には荒々しい波風が吹いている。

*2:ふと思ったのだが、ふだん欲にまみれ過ぎなのだ。