ミノタウロス

不忍池の紫陽花

SF小説を読むというのは、たいていの本もそうではあるのだが、乗り物に乗って知らないところに旅に出るような感覚に似ている。
海外ものの方が、しっかりした乗り物のような気がして乗ることはあまりなかったのだが、この本はなかなかいい感じだ。数日前、バリントン・J・ベイリーを数冊読みかえしていて、所謂「超高速エレベータ」に乗ったかのような感覚を期待してしまっていたのだが、それとは違う。うまくはまる言葉が思い当たらないのだが、読後は1つの旅があっけなく終わったかのような感覚*1なのだが、景色を思い出しながら何かそれだけではない、じんわりとやってくるものがある*2

ミノタウロス (講談社文庫)

ミノタウロス (講談社文庫)

*1:1人の参加者としてロシアの革命の中を駆け抜けたかのような感覚。

*2:もしかしたら、一昨日、祖父が亡くなり、何となしに足跡を辿ったこととどこかだぶってしまっているのかもしれない。