ふと

薄

昼休みに河岸の方まで歩く。淡々と歩く。ずっと水色な秋の空が、遠く川下は霞んで見えない。これ以上ふわふわにならないんじゃないかというくらい、たわわな薄の穂。
それだけでも頭がいっぱいになる。
 
それ以上の圧倒的な感覚、自分すら消し飛んでしまうような。そんなのを受け取るのがこわいと思っていることに、ふと気づいた。こういう感覚は「何か」をリセットするかのような効果があると聞いた。
確かにそうかもしれない。
ふと思い出した。
海に夕日が沈むのをじっと眺めていたら、波打つ海面に一筋の光の道ができてそのまま歩いていけるんじゃないか。言葉にするのさえおこがましい、言葉にならない感覚。