おひさん

瓢湖

曇天。この地方のいつもながらの冬の空。
鶴翼型に群れた鶴が舞う。
彼らはあたたかいと思ってここにいる
のだろうが、寒さは頬を突き刺す。
 
足下の雪、細波だつ瓢湖の湖上、
渡り鳥がたむろしている。湖上に映る木々。
遠くを眺めると雪を携え切り立つ五頭の山が鎮座している。
振返り眺めると、空は淡い紫色に染まっている。
もう海の中に沈んでしまったのだろうか。息が凍るようだ。
 
友人宅に到着する。薪ストーブのオレンジ色。
オレンジ色はぽかぽかとあたたかい。
醸造所で絞り立ての日本酒を入手し、酩酊。
 
あまりにも寒いと鼻が利かない。翌日、山から陽が昇る。
陽に当たると、ぽかぽかとする。あたたかな匂いがする。