空気人形

空気の抜けた蓮

H氏の評だといまいちなのだが、
「まぁ、見に行かねばなるまい」
ということで、行ってきた。
 
Twiggyのミニスカートに覗く艶かしい足
オダギリジョーが紅をさす唇の艶
身体の重さ、息の音、しなだれる手や膝
 
それ以外は...ちょっぴり傷ましい。
 
惨めな現実の中ふわふわと宇宙を漂う。ラムネの瓶に煌めく海の向うの夕陽。
刹那的なトキメキはキラキラと輝き、夢はオートバイよりも加速する。
(夢の中の自分が本当の自分なの? 夢の誘惑を遮ることは難しい)
 
空気を満たしてもらった彼女は、僕の腹を切り裂き空気を入れようとする。
(空気を入れれば、もっと満たされるんじゃないの?)
そして、空気のなくなった僕を都指定の萌えるゴミのビニール袋へ。
(だって私も、燃えないゴミで捨てられるだけ。)
(でも、私は、道具なの?代替品なの?)
 
 
 
結局、そういうものかもしれない。
(そんなこと言われたら、僕だってそんな思いさ)
でも、そっと胸の上に触れ、その安らかな息づかいが聴こえた時、
僕は、かけがえのないものであることを痛切に意識していたのさ。
 
でも、あのワンピ(というのかな?)、かわいかったなぁ。