「ハープ橋が悲鳴を上げる」
「3月のライオン」を読むと、
何だか何かに心を締め付けられるような気持ちになる。
誰でも、誰もが、そうしているのか、どうしているのか、
単に 僕が 自分勝手なのか。
川を眺めながら「花 (FANA ハナ) - 茅場町/ダイニングバー [食べログ]」でお昼を食べていた。ふと、読み物の話になり「昨日、新刊が...」と言ってしまった。片方の男の子は、「ちょっとだけ読んだことあるけど...」もう片方の女の子も「1巻までは買ったけど...」僕はそっと話題をしまい込み、川のボートを眺めながら、他のもっと楽しそうな読み物の話に流れて行くのに任せていた。
楽しいランチとはちょっと流れ行く先が違う。何と言ったらよいのだろう、
この言葉の奏でる音は。
泳いで
泳いで
泳いで 泳いで 泳いで
泳いで 泳いで 泳ぎ抜いた果てに
やっと辿り着いた島
(ここまで来れば もう大丈夫だ ここにさえ着けば・・・
ここにさえ居続けられれば・・・)
あれもこれもと多くを望まなければ
停滞を受け入れてしまえば
思考を停止してしまえれば
もうここはゴールで そして
もう一度 嵐の海に飛び込んで 次の島に向かう理由を僕は もうすでに 何ひとつ持っていなかった
離れたくなかった
でも もう一緒にはいられなかった
自分の足で立てるようにならなければ
大事な人たちを
守れないと
思ったから
まっくらで まぶしくて 息ができない
いくら水を注いでも決して満たされる事は無く
(略)
―――そして そのグラスにひびを入れたのは
他の誰でもなく・・・
ぼくは遠慮する事ばっかり気をつけて 実は
僕は・・・
―――こんな身を投げるように
「勝ち」を取りに行った事があるだろうか
(略)
無傷では決して
辿り着けるわけもない世界
僕が「勝つ理由が無い」とか
「なのに負けるとくやしいのはなんでだ」とか言いながら
目を背けていた世界
―――その果てを彼は
独り両足を踏みしめて
- 作者: 羽海野チカ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2009/08/12
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