欲張りいたち

やきにー

浴衣を着てると、ひょこひょこと歩くような感じだ。
いたちになったような気になる。
ある日、
欲張りいたちは、押上のいたちに会いに行こうと思いました。
「真ん中辺りってことで浅草だね」「ご飯でも食べよう」
 
欲張りいたちは「自転車で行くよ」なんて言ってました。が、何だか嬉しくなったようで、「浅草だし」とか自問して、浴衣を着ようとしてます。勿論、自転車には乗れません。千駄木駅前のコミュニティバス乗り場へ。小さな路地をすり抜けて行くバスに「え、こんな所を抜けてくの?」なんて言ってます。どうも、上機嫌のようです。待ち合わせ3時間前なのに、
松屋前で巾着をクルクル回してます。
 
仲見世をひょこひょこと歩いてます。「ん〜、この前割っちゃったお皿...」なんて言いつつ合羽橋まで歩いてます。だんだん、ひょこひょこが煩わしくなってきたのでしょうか。「それなら、途中でバス降りれば良かったじゃないか」なんて言ってます(1歩1歩がとても短いのです。今迄なんて大股で歩いてたんだろう)。なのに、商店街を歩きながら「あ、これ、いいかも」なんて言ってると、もう、どうでも良くなってしまったようです。
「あれも、これも」と欲張っているうちに、欲張りすぎて結局お皿は諦めたようです。戻り道、こんどは「しなやかな歩き」にこだわってます。でも、とうとう疲れたようで「アンヂェラス」でアイスコーヒーを1杯。
どうも、だいたいで動いてるようです。やっと、松屋の前へ。
 
押上いたちと「やぁ」「やぁ」とか言いながら、
「この2つのお店のどっちがいい?」
欲張りいたちは「両方」と答えます。1軒目を見て「いいねぇ」と言いつつ、「もう一軒も見たい」とか言ってます(両方食べるつもりなの?)。
ひょこひょこと歩いて行くと、雨雲がやってきます。「あ、傘ない。戻ろ」
で、「金楽」に入ります。
 
全く、いい感じなお店です。ちゃぶ台、その上の七輪、その中の炭火が、「うまいもん出すからよ」と飾らずに言ってます。
お皿にお肉は4切れ
(少なくない? いーえ、厚みがね。違うのです。お肉のおいしさがギュッとね。詰まってるんです)。
「ハラミ ウマシ」
「これ、噛んでも噛んでもおいしい!!」
「あ、飲み込んじゃった、反芻したい」
「ハクハク、ハクハク。ダイマンゾク」(2匹)
 
「やっぱね、冷麺外せないんだよ。冷麺はね」お腹いっぱいなのに頼んでます。食べてます。こういう時、欲張りいたちは、ぎりぎりまでの飽満感を求めてしまいます。「ハチキレソウダ」といううめき声が聞こえました。
まったく、欲張りなだけです。
 
それから、ふわふわひょこひょこしながら、喫茶店へ向かいました。「おいしかったね」などと言いながら、アイスコーヒーを飲みました。欲張りめ、こんなことをこっそり織り交ぜてます。
(「あのね、僕にとっては嬉しかったことって思ってるんだ。だから、気に病まないでね」半年タイミングを逃して言えなかったこと。友達の友達、結局は僕の問題なのに。照準はここ。でも、僕が言いたいだけだったんじゃないの?)
 
それから「バス乗る〜」とか言いつつ、松屋前まで行きます。「わぁ、雷門発だった」「飲み過ぎたぁ。やっぱタクシー」まったく、適当欲張りです。
 
欲張りいたちは溺れてばかりです。でも、嬉しくしてて、おいしく食べたりすることも大事なことの1つなんじゃないかなと思ってるようです。
 
押上いたちのお仕事が決まったみたいだ。よかった♪